吃音当事者からのメッセージ


吃音のエピソード

 吃音の症状が出始めたのは小学校一年生の時からです。自己紹介の時に、自分の名字の一言目が出にくく、随伴運動しながらなんとか名前を言っていました。当時は、特に「吃音」という症状があるとは知らず、先生からも、「ゆっくり喋ったんでいいよ」と言われたものの、中々改善されない日々が続いていました。また、周りの友達からは、私の話し方に対してよく笑われました。

 

 中学生になると、思春期ということもあり自分の話し方に違和感を覚え始めました。特に辛かったのは、部活動で名前を言う際、中々上手く言えず、顧問から「しっかり喋れ」と注意を受けました。この頃の自分は、他の人と比べて強い劣等感を覚えたのは今でも忘れません。このまま、こんな日々が続くのかと思うとすごく学校に行くのが嫌になりました。そんなある日、塾の先生から県外の高校を受験しないかと進められました。初めは、行こうとは全く思わなかったのですが、自分を変えたい思いもあって、進学を決意しました。

 

 高校生活では、様々な行事の運営に積極的に参加することで次第に、自分に自信がついてきました。大学では、研究者としての道を目指し没頭していました。研究では、学会発表を行うことも多々あり、発表のたびに自分の名前も言うことが多く、とても緊張して逃げ出したい気持ちもありましたが、逃げれるはずもなく、なんとか気合で発表していました。しかし、何回か発表していくうちに慣れてきたということもあり、スムーズに話せるようになって来ました。

 

 今現在も、吃音の症状は続いていますが、様々な経験をしていく中で、自信をつけ自己肯定感を高めることが、吃音改善の一つであると私は思いました。

 

愛媛言友会 K.N(20代男性)